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アトピー性皮膚炎は漢方薬治療が極めて有効なことは40年近い経験から実証済みではあるが、他の疾患に比べて様々な外来刺激に敏感なように、漢方薬に対してもデリケートで敏感に反応する。
だから、常に漢方薬の品質と配合には最も気を使う。
品質のあまりよくない恐らく安物の原料を使用した漢方製剤を使用すると覿面効果が落ちる。だから品質の優れた製剤でなければ意味がない。
たとえ漢方薬の配合が正しくとも、配合比率がちょっと違うだけでも効果が大きく上下するので油断がならない。特に炎症が強い時期にその傾向が顕著である。
たとえば最近の新人さんたち2名であったことだが、他の数種類の漢方処方とともに地黄含有の六味丸を併用してもらって次第に痒みも赤みを帯びた炎症も軽減しつつあった。
一人は六味丸の規定の半分量でちょうどよく、一人は六味丸を規定通りで推移していた。
前者は試しに六味丸を規定量に戻すと夜間の痒みがぶり返し、一人は規定量の半分に減らしてみると熱感と痒みが再発した。
いずれも状況的にみて、六味丸の服用量を変えたために配合バランスを失って症状が逆戻りしかかったとしか考えようが無いので、もとの服用量に戻してもらっている。
体質によっては他薬との配合比率と使用分量の兼ね合いの僅かな違いでこのように反応が劇的に変化する場合があるので、新しく来られた段階の人達こそ気の休まる暇がない。
これらの微妙な反応を患者さんみずから経験して配合変化の法則を体得してもらわなければならない。
季節によっても反応が大きく異なる問題もあり、一年間を通じた体質傾向を把握しながら、様々な配合変化による反応を体験してもらって、みずからがコントロールできるようになるまで訓練しマスターしてもらう方法を取るのが村田漢方堂薬局のやり方である。
だから仕事としては収益の少ない割りにはたくさんの相談時間と細かな繰り返しのアドバイスなど、多くの労力を強いられる過酷な仕事でもあるが、これをやらないと真の完全寛解を得るのは容易ではないからである。

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